一般社団法人 熊本県放射線技師会

一般の方へ

放射線治療radiation therapyとは

放射線を用いて病気を治療する方法で、主にがん治療に使用します。

『放射線』は目に見えず、体にあたっても何も感じませんが、体の表面や奥にある病気を治すことができます。副作用が出にくいように毎日少しずつ放射線を照射します。

また、放射線治療は外科的な手術と異なり、体を切らないので患者さんへの肉体的負担が少なく、機能や形態の温存を可能にする治療法です。

 

放射線治療の方法

一般的に放射線治療には大きく分けて、体の外から放射線をあてる外部照射と、体の中から放射線をあてる内部照射という方法があります。

 

<外部照射>

一般的に放射線治療というと、ほとんどの場合は外部照射を指します。

通常、直線加速器(リニアック)と呼ばれる装置にて治療を行います。

リニアックの照射口には、図のように多分割絞り(MLC)と呼ばれる絞りがついており、複雑な形状の病変に対しても、より高精度な治療が可能となっています。

RT1

<内部照射>

放射線が出る物質(放射性同位元素)を体の中に入れて治療を行います。体内にいれる方法として、直接患部に放射線を発生する針などを刺して治療する方法、器具用いて一時的に放射線の線源を通し、患部に照射する方法があります。

 

 

放射線治療の流れ(外部照射)

1. 診察

放射線科医師によって、患者様の全身状態および症状などを診察し、治療方法、治療を行うことでの効果、副作用などの説明を行います。

2. 放射線治療計画

放射線治療専用のCT装置を用いて、治療計画に用いる画像を撮影します。

所要時間は30分程度~1時間程度になります。

必要に応じて、体位保持のための固定具等を用い、体の固定を行う場合があります。

得られた画像データを基に、治療計画装置により計算・処理を行い、3次元的に治療計画を作成します。

RT2

3. 治療位置確認・照射

治療計画のスケジュールに沿って毎回の照射を行います。

 

患者様は着替え等の準備をしていただき、治療台に寝ていただきます。

治療計画CT撮影時と同様の体位をとり、体の位置あわせを行います。

位置あわせ完了後に、確認の写真を撮り、治療位置の確認後、照射を行います。

 

 

*毎回の治療時の注意点

・基本的に治療部位を露出させていただきますので、着替え等の準備をしていただきます。

・照射中は体を動かさないように注意してください。治療中に体が動くことで、十分な治療ができないばかりでなく、正常部分に悪影響を及ぼす可能性があります。

・痛みなどが原因でじっとしていられない場合は、あらかじめスタッフにお申し出ください。

 

4. 経過観察

・治療期間中の全身状態および病状の変化など放射線科医師により診察を行います。

・治療開始後に体の症状で変わったことなどあれば、遠慮なくご相談ください。

・治療終了後も、治療部位によっては副作用が2、3ヶ月、長いものでは2年間ほど続く場合もあり、定期的な観察が必要になります。

 

放射線治療期間中の日常生活

放射線治療中は基本的には普段どおりの日常生活をおくっていただいてかまいません。

ただ、次のことに注意してください。

・休息を充分に取りましょう。

体が疲れやすくなることがあり、疲れを感じ始めたら、充分な休息や睡眠を取ってください。

・入浴時の注意

体を洗うときは治療部位を強くこすらず、優しく手入れをし、清潔を保ちましょう。

・バランスのとれた食事を。

食事は栄養のあるバランスのとれた食事にしましょう。

また治療部位によっては、飲み込みやすいものなど、色々と工夫をしながら食事を行い、治療期間中は普段以上カロリーや栄養素を摂取することが大事になります。

 

安心して放射線治療を受けていただくために

放射線治療は、日常生活上のケアや注意事項を患者様やご家族の方に実践していただくことで、より大きな効果が期待できます。そして治療中における肉体的・精神的な負担の軽減にもつながります。放射線治療について分からないこと、ご心配なこと、何かありましたら、なんなりとスタッフまでお申し付けください。


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